胸腺腫瘍について
胸腺(きょうせん)とは、心臓の前〜上、胸骨の裏のあたりに存在する、一見脂肪のように見える組織ですが、乳幼児のころには免疫をつかさどる重要な役割をしている組織です。子供の頃に発達していて、思春期以降はだんだん萎縮し特に重要な役割ははたさなくなります。
胸腺腫瘍とは、この胸腺にできる腫瘍のことで、胸腺腫、胸腺癌などがあります。胸腺腫には下に示します種々の病気が合併することがあります。ほかに胸腺カルチノイド、胸腺嚢胞、胸腺脂肪腫などがあります。
胸腺腫に合併する疾患について
@ 重症筋無力症:胸腺腫の20〜25%に合併。力が入らなくなってしまう病気です。重症筋無力症では体内で抗アセチルコリン受容体抗体という物質が作られます。アセチルコリンは運動神経から筋肉への刺激伝達物質であり、この抗体により刺激の伝達が妨げられて筋力が低下してしまいます。
軽症だと、目のまぶたが下がってしまう程度ですが、重症になると呼吸筋麻痺により息ができなくなってしまいます。
重症筋無力症では胸腺腫がなくても全身症状がある場合は、胸腺をとる手術をすると症状が改善されるとされています。
A 赤芽球癆(せきがきゅうろう):胸腺腫の5%に合併。赤血球が少ししか作られず、貧血になってしまう病気です。反対に赤芽球癆の10%弱に胸腺腫が合併します。
B その他 低ガンマグロブリン血症など。
当科での治療のご説明
当科では胸腺腫瘍が比較的小さい場合や、胸腺嚢胞の場合には胸腔鏡を用いて小さな傷での手術を行っております。
腫瘍が大きい場合や、周囲の組織への浸潤が疑われる場合には胸骨正中切開(胸のまん中にある骨を縦に切って行う手術)を行います。
当科では重症筋無力症に対する拡大胸腺全摘出についても、希望があれば胸腔鏡(創が小さくて済みます)にて行っております。通常は胸骨正中切開を行います。
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